こんにちはKAです。
今回は、ドイツで生まれたユダヤ人であり、3つの強制収容所を生き残った少年の実話が描かれた本「アウシュビッツの小さな厩番」を紹介したいと思います。
この本は今年(2024年)の8月に出版されたかなり最近の本であり、世界12か国語に翻訳されているため世界中の人が読める本となっています。かなり話題になっている本なのでこのサイトを見てくださっている方の中にもこの本を知っている方は多いのではないでしょうか?
内容は、本作の主人公であり著者であるヘンリー・オースターが迫害をどのようにして生き残ったのか、収容所内ではどのような扱いを受けていたのか、解放された直後そしてその後はどのように生活していったのかが描かれており、著者の半生が丸々記されています。
前回「夜と霧」を紹介しました。どちらも収容所での出来事が描かれており、読んだことのない人にとってはあまり大差のない内容なのではと思われる方もいるかもしれませんが、この2つの本には大きな違いがあります。
1つ目は、作者の立場の違いによる収容所に関しての書かれ方の違いです。
夜と霧は、作者が精神科医であるV・E・フランクルであり、収容所内の人々の行動を精神科的視点から観察しそれを実話として本に記しています。しかし本書の著者であるヘンリー・オースターが収容所に収容されていたのは少年時代であり、何か専門的分野を習得していたわけではありません。よってシンプルな少年が感じた悲しみや痛みが描かれています。
2つ目は作者の出自の違いです。フランクルはオーストリア出身ですがオースターはドイツ出身です。よって収容前の生活環境が違います。フランクルは迫害を受ける前は精神科医として普通の生活をしていました。しかし、ドイツ出身のオースターは、ユダヤ人が強制的に住まされる「ゲットー」という場所で生活をし、そこから別のゲットーと収容所を3か所移動することになりました。本書では、収容所間の移動がどういったものだったのかが書かれているのでそこも読んでいただきたいです。
最後の違いとして、解放された収容所の違いがあげられます。
フランクルは最初から最後までアウシュビッツ強制収容所に収監され、そこで解放されましたが、オースターがアウシュビッツに収監されたのは3か所の中の2か所目であり、彼はブーヘンバルト強制収容所という別の強制収容所から解放されました。この2つの収容所からの解放のされ方には大きな違いがあります。気になる方はぜひ読んでみてください。
ここまで前回紹介した夜と霧との違いを踏まえて内容を紹介してきましたがいかがだったでしょうか?少しでも気になっていただけましたか?
最後にこの本を読んだ私のちょっとした感想を書きたいと思いますが、一言でいうと歴史を忘れないためにも1度は読んでみてほしいと思いました。第二次世界大戦を生き残ってきた生き証人の方々が少なくなってきている現代、歴史を忘れて同じようなことが繰り返されないようにするためにもこの本を読んで少しでも昔の出来事を知っておく必要があるのではないでしょうか。ぜひ読んでいただきたいです。
この本、300ページ近くある本なので本をあまり読んだことがないという方からすると多く感じるかもしれませんが、内容が細かく全57章に分かれており、1章でだいたい3~4ページほどなので1日1章読むなど工夫して読むことができます。私も細かく何日かに分けて読みました。
ぜひ、このブログを見て少しでも面白そうだなと思ってくださった方がいらしたら、お近くの書店などで探して読んでみてください。コメントなどお待ちしております。
以上「アウシュビッツの小さな厩番」の紹介でした。
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